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ヨーロッパの片隅で、家族と鳥一羽と暮らしています 。  世界遺産とポルノグラフィティとホンとオンガクが好き。    よければアシアトを残してくれればウレシイです☆       写真撮影:miyuとその家族


by miyu-sakura
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「夜のピクニック」

旅に出る時には、
文庫本を何冊か持って行くことにしています。


私は、
車の中でも、電車の中でも、飛行機の中でも、船の中でも、
案外酔わずに本が読めるたちなので
移動中でもけっこう本が読めるんです。


ノルウェーに行った時は
村上春樹の「海辺のカフカ」を。

ポルトガルに行った時は
浅田次郎の「蒼穹の昴」を。

オランダに行った時は
東野圭吾の「手紙」を。


ずっと読みたかった本を、あえて我慢してまで
旅先の楽しみにとっているの。


旅先で読んだ本は

その本の背表紙を見るたびに
スライドショーのように、その旅先の風景を思い出させてくれる。

木漏れ日も、大雨も、車のパンクも、風に吹き飛ばされる帽子も
微笑むおばあちゃんも、泣き出す赤ん坊も、飛び込んだプールの飛沫も。

楽しかったこと、残念だったこと、いろいろな思い出が本の内容と相まって
忘れられない一冊になるから。



で、

今回の旅行には
第2回本屋大賞、恩田陸の「夜のピクニック」を
持っていきました。

「本屋大賞」といえば、2003年から始まった、
全国の本屋さんが売りたい作品に投票するランキング形式の賞で
他の文芸賞に比べると、読者感覚に近い本が上位に上がっているような。


なんといっても本屋大賞だもの。
きっとすんごく心を揺さぶられるに違いないって思って、
去年映画化されたみたいだし、きっときっと感動するはずって思って、

わくわくしながら本を開いてみたのだけど・・・



それが・・・・・・・・・



「夜のピクニック」、読んだ方、いらっしゃいますか?
どんな感想をお持ちですか?



実はわたし、「ノスタルジーの魔術師が贈る清涼感あふれる名作(帯より)」
とある、この「夜のピクニック」、


あんまし感動しなくて、どちらかというと嫌いな本だなあと。



どーしよー。

高校3年の最後の学校行事に、心に決めた秘密を清算するという
いかにも胸キュンなお話しなのに・・・・

なんでー。

もう私にはセイシュンなんて昔すぎてわかんなくなっているからー?
ココロもカラダもすっかり汚れてしまっているからー?




本が嫌いなんてそんなこと、私にとってあんまりないことなので
なんでかなあと考えてみました。


多分・・・

登場人物がみんながみんな、すごくいい人だから。
1人だけ、調子のいい女の子がいるけれど、その女の子ですら
「彼女は子供なのだ」って許してしまっています。

それに、才色兼備で運動神経も抜群、お花も踊りも師範の腕前で
加えて性格もすごくよい高校生っているんでしょうか?

もともとが進学校なので、落ちこぼれですら東京文系私学で、
できる子にいたっては軽々とスタンフォード大に入学するし。


こんな設定、まるで少女漫画だと思ってしまったのがイケナイ。
はなから斜に構えて読んでしまったのがイケナイ。



きっと、だから嫌いなのかな。



・・・・・でも、・・・・・・

私はもしかして、この子たちがうらやましいと思ったのかも。

「もっとちゃんと高校生やっとくんだった」、
「損した。青春しとけばよかった」、と

最後に高校3年の主人公の男の子がつぶやくけれど
それは、きっと私のつぶやきでもあって。



高校の制服が、いつだって窮屈で、
早く制服を脱ぎたくて、大人になったら何しようって、
私の自由は大学生活から始まるんだって思っていrて。

そんな高校生活だったから
ちゃんと青春しなかったから、

まだ高校生のうちに、青春しようと思った主人公がうらやましかったのかな。
君たちはまだギリギリセーフで間に合ったけれど、
私はもう間に合わないなあって。



「夜のピクニック」は、
ちょっと心をざわつかせる、そんな本でした。
「夜のピクニック」_f0062821_7434196.jpg

(世界遺産、ポルトガルのポルト。旧市街を眺めて日向ぼっこのおじいさん)
by miyu-sakura | 2007-05-23 07:17 | J' aime le livre