ヨーロッパの片隅で、家族と鳥一羽と暮らしています 。  世界遺産とポルノグラフィティとホンとオンガクが好き。    よければアシアトを残してくれればウレシイです☆       写真撮影:miyuとその家族


by miyu-sakura
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2006年 05月 29日 ( 1 )

天気職人

えー、今回は、生の私のことをご存知の方は飛ばしてください。・・・
(はずかしいのと、オチがないので)

haru☆jp(ポルノ晴一さんのブログ)のお仲間と作りました、
小説部の宿題、ポルノの曲、「天気職人」を課題に駄文を書いてみました。


               「天気職人」

   もし僕が、天気を自由に操れる天気職人だったなら、
  明日は君のため、雲ひとつない青空を作って見せるのに。


 君からの手紙が届いたのは、僕らが初めて出会った、桜舞い散る午後。
 差出人の名前がなくても、僕は君からの手紙だとすぐにわかった。
そして、君が僕との思い出をまだ密かに持っていることも。

 僕が君に一目ぼれして、そして思いをようやく伝えて二人付き合い出したのは
夏も終わろうとしていた頃。
 寂しいはずの秋の始まりが、寄り添って歩く口実になり、僕は有頂天だった。
憧れ、焦がれた君が、僕のすぐ隣にいるなんて最初は信じられない気持ちで
いっぱいだったんだよ。
 会う口実に誘った映画を、今でも僕は鮮明に覚えている。
 映画の後で初めて行った喫茶店で、どんな話しをしたかなんてことも、ちゃん
と覚えているんだ。

 僕は相変わらず、この狭いアパートで、君からの手紙を読んでいる。
手紙には、君が飼っていた猫が子供を産んだこと、そして久しぶりに、僕らの
母校に行ってみたことなどが、取り留めなく書かれていて、まるで、書くことを
止めたらそこで人生が終わるみたいな調子で、延々と続いていた。
 そして、分厚い便箋の最後には、まるで、忘れ物をふと思い出したかのように、
4月20日、とだけ、書かれていた。
 今の僕には、その長い手紙が、そのたった5つの文字を僕に伝えるために
だけに書かれたことくらいわかる。昔の僕にはわからなかったことだけど。
 4月20日、君の結婚式だ。

 君が、かなりわかりにくい人間だということは、付き合う前から知っていて、
実際のところ、そこが君の魅力だったんだけれど、君の旦那様になる人は、
ちゃんとわかっているのかい。
 手紙は、相変わらず自分のことばかり書かれてて、僕のほうの様子を訊く
そぶりはないけれど、そう、それでこそ僕の好きだった君だ。わがままで、
強引で、自分勝手で、そして、笑い上戸だ。僕らはよく、ちょっとしたことでも
笑いあっていた。笑い転げていた。
 でも、今、君の事を思い出すと泣き顔しか浮かばない。不思議なことだけど。
本当に、笑い上戸だったはずなのに。

 僕の知らないところで昔の男といるのを見たのは、付き合って3年になる頃。
君を傷つけて、君をなじって、僕らは終わった。君は、何も弁解をしなかった。
僕らは同級生で、3年付き合って、そして別れた。ただそれだけのことと、僕は
そう思っていた。ずいぶん後になって、ばったり君の友達に会うまでは。
 友達は教えてくれたよ。君が、僕が信じてくれなかったことが悲しい、何も
なかったのに、とたくさんたくさん泣いたことを。
 
 僕はまだ、ここにいる。この、君がよく訪ねてきたアパートの部屋で、変わらず
忙しい毎日だ。君とのことを、思い出す暇もないくらいに忙しくしている。そして、
僕にも彼女くらいいて、優しくて、かわいくて、やっぱり笑い上戸だ。そこそこ
ナントカ、元気にやっているといえる。
 毎日忙しく暮らしているうち、時だけがあっという間に流れていく。人生って
たぶん、そんなもんだ。


 明日は、4月20日。君の新しい門出だ。
 僕たちの終わりを告げた手紙は、もう捨ててしまったよ。残らない方がいい。
 僕たちは、僕たちの道をばらばらに、でも、しっかりと歩いていく。些細な日常の
なんでもない積み重ねを幸せと思えるよう、心から願うよ。
 君とともに歩けなかった僕のこれからの人生が、どんなものになるかは誰にも
わからないけれど。


 笑い上戸の君が、ずっと笑っていられるよう、天気職人に僕は頼もう。
 君のこれからの人生に、僕はもうどこにもいないのだから。


 せめて、最後に、明日の君の結婚式が、雲ひとつない晴天でありますように。

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by miyu-sakura | 2006-05-29 08:46 | ポルノ・ポルノ!!